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長野県喬木村教育委員会

創作授業に対する生徒の取り組み意欲を劇的に高め、真の「主体的・対話的で深い学び」を実現

2018/06/21

中学校創作
  • オリジナルソングづくり

 喬木中学校恒例の3年生を対象とした喬木村PRソング(CMソング)制作の音楽授業。例年、リコーダーや鍵盤ハーモニカなどを使用して作曲し、音楽教諭のピアノ伴奏にあわせてひとりずつ歌う形で発表していましたが、どうしても楽器演奏や歌唱が得意な生徒とそうでない生徒の間で授業の取り組み方に差が出ていました。また、音楽教諭は途中でつまずいてしまう生徒の指導に追われ、教室全体のフォローが疎かになりがちでした。
 こうした中、教育機関向けのI CT製品展示イベントでヤマハの「ボーカロイド教育版」の存在を知り検討を進めることに。タブレットでのペン操作だけで簡単に作曲できる直感的なユーザーインターフェースに魅力を感じ、ICT支援員を通じて地元教育委員会に働きかけた結果、校内無制限ライセンスの導入が決まりました。


 

音楽が苦手の生徒も高い意欲をもって取り組み、従来より少ない授業時間でカリキュラムを終了

 

  • 創作授業用に「ボーカロイド教育版(校内無制限ライセンス)」を導入
  • ボーカロイドを導入したひとり1台のタブレットで喬木村のCMソングを作曲
  • 音楽教諭の負担を軽減し、従来より少ない授業時間でカリキュラムを終了

 3〜4人のグループにわかれ、計4グループがそれぞれ16小節の曲を作っていきます。最初に、初めて使うボーカロイド教育版の操作説明を受けます。音の入力、修正の方法などを知ることに加え、1小節が8マスに分かれていることに気がつきました(※初期設定、音符の長さは随時変更可能)。つまり1マスの長さが8分音符で、その音符に言葉を乗せていくので、1小節の中には8文字の歌詞が入ることになります。さらにその歌詞の言葉を伸ばしたり、休符を入れてリズムを作ることを想定し、7文字+5文字、七五調の「やさしいせんせい+ありがとう」という言葉で、入力とリズムの作り方を練習しました。ここではボーカロイド教育版に同梱されている授業モデルパックにあるワークシート「リズム記入表」を使います。2小節分の歌詞ですが、言葉を伸ばす位置や休符の位置で聞こえ方が変わるため、グループでアイディアを出し合いながらリズム作りを行いました。記入したマス目と同じようにボーカロイド教育版にリズムを転記して行くので、一度の練習だけで児童たちはすぐに使い方に慣れていきました。

 


 

「ボーカロイド教育版」が主体的・対話的で深い学びにもたらす大きな可能性を体感

 

  • 後で振り返りができるように、ブラッシュアップしていく過程を保存
  • 最大4パートまで作成できる機能を利用して、メロディーにハーモニーをつける取り組みも
  • 1・2年生を対象に、箏やピアノなど楽器音での自動演奏機能を活用した創作授業を実施

 中間発表での他生徒からのアドバイスを受けて修正していくプロセスをデータで保存し、後でどこをどう改善したのか振り返れるようにしたり、最終の発表会では制作したCMソングを合成音声と一緒に合唱するなど、「ボーカロイド教育版」ならではの機能をフル活用。全員がレベルの高いCMソングを制作することができました。早目に作曲を終えた一部の生徒の中には、最大4パートまで作成できるボーカロイドの機能を利用して、メロディーにハーモニーをつけるなど自発的な取り組みも見られました。
 更に、3年生を兄や姉にもつ1・2年生から「自分たちもボーカロイドを活用した音楽授業をやってみたい」という要望が複数あり、デフォルトで用意されている琴やピアノなどの楽器音を用いた創作授業を実施することになった…という後日談も。活用開始からわずか半年あまりで、ボーカロイドに対する生徒たちの興味関心の高さとともに、真の「主体的・対話的で深い学び」を実現する可能性を感じる結果となりました。

 


 

喬木中学校におけるボーカロイド教育版の活用方法

 

  • ボーカロイド教育版(校内無制限ライセンス)」を導入。ひとり1台のタブレットで各自CMソングを制作
  • 最後の発表会では、電子黒板にピアノロール画面を映し出しながら、出来上がったCMソングをクラス全員に披露

ボーカロイド教育版を使ったCMソング制作の流れ

 

キーワード抽出 1時間 喬木村の特色やアピールポイントを洗い出し

作詞 1時間 洗い出したキーワードを用いて歌詞を作成

CMソングについて分析 1時間 既存のCMソングについて、曲の長さ、リフレイン効果、リズムやテンポ、歌詞の覚えやすさなどを分析。子供たち自身の気付きから、CMソング制作で押さえるべき基本(ポイント)を整理

作曲 2時間 ・ボーカロイド教育版を用いてひとり1台のタブレット端末で作曲
・中間発表を実施。他者の感想や意見を聞き、改善策を話し合い、修正する…という作業を繰り返す

発表 1時間 出来上がったCMソングのピアノロール画面を電子黒板に映し出してひとりずつ発表

 


 

担当の曽我先生の声

 

 ヤマハの方に基本操作を説明いただく授業ではボーカロイドの歌声が流れると、教室全体から「おー」という歓声が上がり、さすがデジタルネイティブ世代!と感心しました。その後の授業でも、生徒たちの従来と全く異なる“熱い”取り組み姿勢が印象的でした。ボーカロイドを用いた作曲では、直感的な操作で自由に音程や長さを入力できる分、「でたらめに入力して、まともな曲にならないのでは…」という懸念もありましたが、入力したメロディーを再生してどうすれば良くなるか試行錯誤ができ、生徒同士でアドバイスをし合いながらブラッシュアップしていく様子を見て安心しました。

 

■ 喬木中学校3年 音楽創作授業『CMソングづくり』より

・喬木村CMソング1

・喬木村CMソング2

・喬木村CMソング3

・喬木村CMソング4