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静岡県浜松市立北浜北小学校

自分たちでつくったオリジナルの「学年歌」を卒業式で歌いたい!

2018/03/16

創作小学校
  • オリジナルソングづくり
  • 学級歌・学年歌づくり

 卒業式で6年生が歌う歌が、子どもたちがつくったオリジナルの歌だったらどんなに素敵だろう・・・。
ボーカロイド教育版を使った学年歌づくりのご依頼をいただいた時、浜松市立北浜北小学校の6年生の担任の先生方がおっしゃっていた言葉です。
 特に6年3組の担任の髙林圭吾先生は、昨年度までの赴任校である浜松市立井伊谷小学校で学年歌づくりの取組みをご経験されていました。そこで他の先生方にご紹介いただいたところ「ぜひこの学校の6年生でもやってみたい」とこの取り組みがスタートしました。


 

歌づくりの基礎知識を学ぶ

 

 まずは、ボーカロイド教育版を使って歌づくりの基礎知識を学ぶ授業を実施しました。「○○せんせい、こんにちは」という言葉にメロディーをつける課題に挑戦です。
ここでは言葉に合わせたリズムを考えることや、言葉の抑揚や伴奏に合ったメロディーラインをつくることを学びます。
 あわせて、ボーカロイド教育版の使い方に慣れることも目的としました。4~5人のグループに分かれてタブレット端末に頭を寄せ合い、音の長さや音の高さを工夫しながら、子どもたちはあっという間に操作を覚えてしまいました。
「曲づくりはむずかしいかも・・・」という不安は、「私たちでも曲をつくれるんだ」という自信に変化していったようです。

 


 

歌詞づくり

 

 歌づくりの基礎を学んだ後は、いよいよ学年歌の歌詞をつくっていきます。歌詞づくりは自分たちの想いを込める重要な作業です。
 今回の学年歌は卒業式で歌うことを想定して、ある程度の長さのある曲に仕上げることにしました。
北浜北小の6年生は3クラスあります。そこで、1クラスごとにAメロ・Bメロ・サビの24小節の曲をつくり、それを3クラス分つなげ、最後に学年歌プロジェクトの実行委員さんがつくる大サビで締めくくる構成にしました。歌詞づくりもそれぞれのクラスでAメロ・Bメロ・サビのテーマを決めて、言葉を紡ぎ出していきました。
 歌詞に入れられる言葉は、メロディーがつくりやすいように1小節8文字まで。限られた文字数の中で厳選された言葉は、子どもたちの想いがぎゅっと詰まった素晴らしいフレーズばかり。この言葉にどんなメロディーが奏でられるのか、期待がふくらみます。

 


 

歌詞にメロディーをのせる

 

 それぞれのクラスで「Aメロ」「Bメロ」「サビ」のグループに分かれて、8小節のメロディーを歌詞に合わせてつくります。歌づくりの基礎はすでに学んでいるのですが、今回は曲の構成について学習しました。
 例えば、サビは音域の高い部分を使うと盛り上がって聴こえる。一方、Aメロは静かな感じにするために音域は低めの部分を使う、といった具合に、それぞれ担当する部分の特徴を踏まえた上でメロディーをつくりました。
 ボーカロイド教育版は入力した歌をすぐに正確に歌ってくれます。子どもたちは音を並べては再生して聴き、聴いては修正し、という試行錯誤を繰り返しながら自分たちのイメージする歌に近づけていきます。
 ここでは音楽が得意な子も苦手な子も関係なく、意見を出し合い、よりよい歌をつくるという目標のもとクリエイティビティを発揮する姿が見られました。

 


 

つくったメロディーをブラッシュアップ

 

 最後の授業では、グループごとに一旦完成させたメロディーをブラッシュアップさせます。
ポイントは「歌いやすさ」と「伝わりやすさ」。最終的に卒業式で歌う歌です。自分たちが歌いやすいことはもちろん、卒業式に参列される皆さんに自分たちの想いを伝えることが重要です。そのために、メロディーラインをなめらかにすることや、くり返し(反復)を使うことなど、いくつかのテクニックを学び実践しました。
 また今回は、ヤマハスタッフによるアドバイスシートもご用意しました。これは、各グループの歌に対して「この部分に気を付けるともっとステキな歌になるよ」という個別のアドバイスが書かれています。その内容をもとに「そうか、一旦音を下げてから上げたら盛り上がるんだ」など、さらなる歌へのこだわりが生まれたようです。
 授業の最後に、各グループの歌をクラス全員で聴きあいました。どの歌も想いのこもった素敵な歌に仕上がりました。
この後は、ヤマハがそれぞれのパートをつなげて1つの学年歌に完成させることになります。

 


 

合唱練習、そして卒業式へ

 

 完成した学年歌はピアノ伴奏の前奏や間奏がつけられ、5分を超える大曲になりました。
当初は、クラスごとに自分たちで担当した部分のみを歌い、最後の大サビは全員で歌う予定でした。しかし、子どもたちの歌を覚える早さは想像をはるかに超えていました。やはり、自分たちの想いが込められた歌は他の歌とは全く違うのかもしれません。
1月の下旬ごろから歌の練習を開始し、2部合唱にも挑戦。3月上旬には卒業記念のCDのために、6年生全員での合唱を録音しました。
 そして3月16日は卒業式です。
 世界に一つだけの歌をお聴き下さい。

 

■ 北浜北小6年生による学年歌「歩み」