想いを歌で表現しようと試行錯誤することが論理的思考へとつながります。歌づくりは、音の長さ・高さ・リズムを組み合わせる等の様々な要素があり、その内容、順番などを深く考え、試行錯誤をすることで、より表現したかった意図を具体化できます。
教育現場で従来から利用されたワークシートなどに加えて「ボーカロイド教育」を活用することで、アイデアを可視化し、何度でも試行錯誤することが容易になります。その過程を通じて、意識せずとも、子どもたちのプログラミング的思考(論理的な思考)を育むことになるとヤマハは考えます。
音楽科の授業で「ボーカロイド教育版」をツールとして利用すると、限られた授業時間の中で、歌づくりの活動を気軽に取り入れることができるようになります。音楽の根源的な活動の一つともいえる自ら作って表現する喜びを味わえるようになるのです。「以下に示す三つの視点」から見ても、これからの時代に求められる学校教育の方向性に合致しています。
信州大学 教育学部 音楽教育コース 教授 齊藤 忠彦
近年、プログラミング教育が注目され、小学校段階からプログラミング的思考(論理的思考力や創造性、問題解決能力等)を育むことの重要性が指摘されています。「ボーカロイド教育版」を用いての歌づくりでは、最初に歌のイメージをもち、それを具現するために、音の長さや高さなどを入力し、それを聴いて修正し、試行錯誤を重ねて一つの作品を完成させていきます。このような一連の学習過程に、プログラミング的思考が重なるのです。
これからの時代の子どもたちに育成すべき資質・能力の三つの柱として、「学びに向かう力・人間性等の涵養」、「知識・理解の習得」、「思考力・判断力・表現力等の育成」があげられています。「ボーカロイド教育版」を用いた歌づくりの学習は、「思考力・判断力・表現力等の育成」と直接的に関わります。歌づくりで試行錯誤を重ねる場面では、知識や技能といった理論的な面と、自らがもっている感性的な面を往還させながら、思考、判断し、表現力を高めていくことができます。
アクティブ・ラーニングとは、直訳すれば能動的な学習のことで、主体的な学び、対話的な学び等がキーワードとしてあげられています。「ボーカロイド教育版」は、個別にタブレットを用いて歌づくりができる学習環境であれば、主体的な学びを実現し、グループに一台のタブレットを用いて歌づくりを行う学習環境であれば、対話的な学びを実現します。