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活動・事例紹介 Activities & Showcase

― 「ボーカロイド教育版」を使ってPRソングをつくろう! ―中野区立緑野小学校でのトライアル事例


「これからのグローバル社会をたくましく生き抜く力を育成する」を目標に掲げ、積極的に「新しい学び」の創造に取り組む駒崎校長先生。プログラミング教育必修化を見据え、タブレットの導入だけでなく教室の大型電子黒板には児童のタブレットがワイヤレスで接続できる仕組みなど、校長先生自ら整備されています。
音楽科の授業で「ボーカロイド」を使っていただくことになり、担当の北山先生の発案により「展覧会の図画工作の作品をPRする歌を作って、展覧会で作品のBGMとして歌も発表しよう」ということになりました。6年生による初めての歌作り。音楽の授業として5時間の指導計画で「音楽づくり」の授業がスタートしました。


 

1.楽譜とボーカロイド画面の違いを見てみよう!

 

ボーカロイドの入力画面は「ピアノロール画面」と呼ばれるもので、ピアノ鍵盤を画面左側に縦向きに配置し、上下で音の高さ、右方向に時間軸を示しています。北山先生はこれを「ボーカロイドの楽譜」と見立て、日頃から教科書で見ているような通常の「楽譜」と「ボーカロイドの楽譜」を比較することから授業をスタートしました。
まず見慣れている「楽譜」を電子黒板に映し、「楽譜は何を表しているかな?」と質問すると、児童たちは「音の高さ」「リズム」「拍子」「テンポ」などと、次々に答えました。その上で、「ボーカロイドの楽譜の上では、こんな風に書きます」と、児童たちの前で音符を入力して見せました。画面の上の方は高い音、下の方は低い音、棒を長く引っ張ると音が長くなります。そして再生ボタンを押すと、すぐにボーカロイドが「るるるるる~」と音程を付けて歌ってくれるので、どんなメロディになっているか、すぐに聴いて確認することができます。
北山先生のデモンストレーションを見ながら、児童たちは興味津々。中には「今までの楽譜よりも簡単!分かりやすいね!」という声も聞かれました。

 


 

2.オリジナルの「きらきら星」をつくろう

 

ボーカロイドの画面は方眼状になっており、初期設定では1マスが8分音符の単位になります。北山先生は繰り返し「1マスは何音符かな?」と児童に確認し、「では2マスの長さにすると何音符?3マスは?」と質問していました。生徒たちはまるで合言葉のように「4分音符!付点4分音符!」と答えていて、それぞれの音符の長さは正しく理解できているようでした。
いよいよタブレットを手にした児童たち。ボーカロイドを起動し最初の練習として「きらきら星」を入力してみると、スラスラと正しいリズムで入力することができました。これも「1マス=8分音符」という理解が徹底できていたからだと思います。
更に、完成した「きらきら星」のリズムは変えずに音の高さだけを変えて「きらきら星」のアレンジにチャレンジしました。入力した音を上下に動かすだけで音の高さが変わります。メロディを上行形にしてみたり、下行形にしてみたり、山なりの形にしてみたり。メロディの形による印象の違いを学ぶとともに、ボーカロイドの基本操作もマスターできたようでした。

 


 

3.歌詞作りと歌の設計図を書こう

 

展覧会に出展される図画工作の作品の写真が20点、音楽教室の黒板に貼り出されました。学年によってテーマは様々ですが、どの作品も独創的で生き生きとした作品ばかりです。
2人一組になってPRソングを作ることになりました。作品から受けるインスピレーションを基に、2人で相応しいキーワードを並べる手法で歌詞が完成しました。
「8小節のPRソング」とあらかじめ決めていたので、1小節8文字以内になるように歌詞を分けてワークシートに記入、そしてその上にメロディの形を鉛筆で描きました。ここでは歌詞も重要になってきます。明るい気持ちの歌詞に合わせてメロディを上行形にしてみたり、同じリズムの言葉が繰り返されるところは、メロディも同じ形を反復してみたり。ワークシートに記入することにより、これから作るPRソング全体の見通しをしっかり持つことができました。

 


 

4.ボーカロイドでメロディを作ろう

 

ピアノ伴奏を8種類用意していました。その中からイメージに合うピアノ伴奏を選び、その伴奏のコード進行に合うようにメロディを作りました。ボーカロイドのコードガイド機能を使うと、伴奏の構成音が容易に確認することができるので、それを頼りにメロディの音を並べることができます。ただ、コード構成音ばかりでは音がなめらかに繋がらないので、コード構成音以外の音も使いながら、設計図に描いた曲線をボーカロイドの画面上に再現していきます。音を並べてできたフレーズを再生してはリズムや音程を調整し、また聴いて、また調整し、この繰り返しで試行錯誤しながらPRソングを完成させました。この試行錯誤は1人ではなく、ペアでの学びが展開されました。2人で対話を重ね「議論する」ことによって、1人ではできない素敵なメロディか完成しました。

 


 

5.展覧会

 

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展覧会は金・土曜日の2日間で開催されました。当初は、展示作品の前にタブレットを設置して6年生がつくったPRソングをBGMとして流し聴いていただく予定でしたが、多くの保護者が来られるとのことでしたので、ヤマハの音楽配信システム「即レコ」https://www.sokureko24.jp/air/ を使い、保護者のスマートフォンでもPRソングを聴いていただけるように準備しました。イヤホンで音楽を聴きながら展示作品を楽しんでいただくという、画期的な展覧会となりました。
「歌づくり」は児童にとって初めての経験でした。「授業時間だけでは満足できす、休み時間や放課後までも音楽室に来て制作をしている児童も多かった」と北山先生は嬉しそうに話されていました。この経験により音楽の聴き方が変わり、これから音楽との関わり方が変わってくるかもしれません。これをきっかけに、もっと音楽が好きになってもらえればと思います。