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活動・事例紹介 Activities & Showcase

― 「箏×デジタル教材」で授業の充実と効率化を両立 ―静岡県浜松市立舞阪中学校でのトライアル事例

main「中学3年間の中で少なくとも1度は和楽器の体験を」と、授業に臨んできた辻村先生。「自分も初心者で『さくらさくら』のさわり部分が弾ける程度」と冗談混じりに話されつつも、ご専門ではない楽器、しかも長年勉強してきた西洋音楽とは大きく違う邦楽であることから、教えることに不安を感じられていたようです。
そこで、トライアルとして大型モニターを用いて、デジタル音楽教材を箏の授業で活用していただきました。


 

1. 導入

 

「六段の調」の演奏をDVDで鑑賞し、箏の音色や特徴を知ることから授業はスタートしました。お箏の音色の良さ、歴史のみならず、日本の良き伝統など和の文化に触れて欲しいという想いから、箏の演奏だけでなく「鹿威し」などの日本特有の音も聞かせたそうです。
そのような「和」の音に対して生徒たちは「やすらぎ」「寂しさ」「美しさ」「わびさび」などを感じ取っていました。
「和」の音色に触れる中で「箏でどんな音を出したいのか」生徒自身でイメージを膨らませました。そして「和」の環境音と箏の音色の共通点として「余韻」に着目し、箏を演奏する際には「余韻」を大切に弾くように指導しました。

 


 

2. デジタル音楽教材

 

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ほとんどの生徒たちにとって、箏は「見たことはある」「聴いたことはある」楽器ではあるけれど、弾いてみたことはありません。本物の箏を前にして緊張もあったことでしょう。
箏の音色に対するイメージはできていましたが、一筋縄にイメージどおりの音色で奏でることはできません。そこでいよいよ、デジタル音楽教材の登場です。教室の大型モニターを使って一斉学習に活用しました。
デジタル音楽教材では、弾く前の準備として「座り方」「構え方」などの基本から映像で解説しています。写真だけでは伝えにくい部分も、映像では重要なポイントを示しながら解説しているので理解しやすく、生徒たちは映像で見たことをすぐに実践することができました。
特に、きれいな音色を出すために重要な「指の形」や「向こう指の置き方」「爪の当て方」などをデジタル音楽教材で学ぶと、生徒たちの奏でる箏の音色が、ガラッと変わり、先生も大変驚かれたようです。
先生お一人で生徒30人に指導するよりも、大型モニターで一斉に映像を見てすぐに実践できるのは大変良いと辻村先生には絶賛していただきました。

 


 

3. ゲストティーチャー

 

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デジタル音楽教材の監修者でもある静岡大学の長谷川慎先生をゲストティーチャーにお招きして、箏の指導をしていただきました。
最初に、生徒たち全員による「さくらさくら」の演奏を聴いていただきました。
長谷川先生はこれまでにも多くの小中学校を訪問されてきましたが、「弱々しい音色になってしまうことが多いが、これほどしっかりとした良い音色で弾けているのは素晴らしい!」と、デジタル教材を使って箏演奏の基本がしっかり習得できていることを褒めていただきました。

長谷川先生は「唱歌」を使って、拍の取り方、裏間の取り方を指導されました。西洋音楽での拍の取り方と日本伝統の音楽の拍の取り方は違うこと、日本の伝統音楽では「裏間」と言って、裏拍が非常に重要であることをレクチャーしておられました。
また、「コロリン」を例に、唱歌の歴史や唱歌が持つ意味などについても話されていました。
「コロリン」と言葉で話すのと同じように、「リン」が大きくなったり重くなったりしないように弾く。「コロリン」というフレーズが持つニュアンスのまま、箏で弾いてみる練習を繰り返し行いました。
「コロリン」は、箏初心者にとっては難しいテクニックの1つですが、それでも生徒たちは繰り返し練習することで滑らかに弾けるようになっていく様子が見られました。


 

4. 唱歌

 

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デジタル音楽教材でも、「唱歌」を使ってレクチャーしています。
辻村先生は今まで「唱歌」使って授業を行ったことがなかったそうですが、「唱歌」をうたうことで「間」の重要性を知るとともに、「間」をうまく表現できるようになりました。そして、より「箏曲」に相応しい曲想で演奏するために意欲を持って学習に取り組むことができたようです。
また、2人一組になって、箏を弾く生徒の隣でもう一人が「唱歌」を唄うことによって、一緒に音楽を作っているという一体感も生まれ、協働学習ができたと話されていました。

 


 

5. まとめ

 

学校での「箏」の学習は必ずしも「箏が上手に弾けるようになる」ことだけが目的ではありません。箏をとおして日本の文化に触れることが目的と言えます。そのためには、生徒自ら箏の演奏を体験することで、日本文化を肌で感じることができると考えます。
しかしながら箏の指導は難しく、限られた音楽の授業数の中で箏の演奏の習得は困難でした。デジタル音楽教材を使うことで、箏を効率的に学ぶことができ、生徒それぞれのレベルやペースに合わせて学習することができる。そして高い満足感を得ることができることが素晴らしいと話す辻村先生。
授業の最後には、お互いの演奏を聴き合って感想を交換しました。良い音を求めていただけあって、相手に対しても厳しく評価していたようですが、それは深く学ぶことができたからこそできること。デジタル音楽教材を活用した効果が感じられました。